副業の確定申告は「いくらから」必要か
結論から書くと、会社員(年末調整が済んでいる給与所得者)の場合、副業の所得が 年間20万円を超えると所得税の確定申告が必要になります。国税庁のタックスアンサー No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」は、確定申告が必要な人として 「給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、 各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える人」を挙げています。
ただしこの一行には、間違えやすい点が3つ埋まっています。 ①「収入」ではなく「所得」で判定すること、 ②副業がアルバイト(給与)だと判定の仕方が変わること、 ③20万円以下でも住民税の申告は別途必要なことです。順に見ていきます。
① 20万円は「収入」ではなく「所得」
20万円と比べるのは、振り込まれた金額そのものではありません。 業務委託やフリマ、アフィリエイトなどの雑所得・事業所得は、 「総収入金額 − 必要経費 = 所得」で計算します(国税庁 No.1500 雑所得 / No.1350 事業所得の課税のしくみ)。
| 例 | 収入 | 経費 | 所得 | 所得税の確定申告 |
|---|---|---|---|---|
| ライター業務委託 | 25万円 | 10万円 | 15万円 | 原則不要 |
| ハンドメイド販売 | 30万円 | 5万円 | 25万円 | 必要 |
| アフィリエイト | 21万円 | 3万円 | 18万円 | 原則不要 |
つまり収入が20万円を超えていても、経費を引いた所得が20万円以下なら 所得税の確定申告は原則不要です。逆に言えば、経費を集計していないと 自分がラインの内側にいるのか外側にいるのか分かりません。 領収書と入金明細は、判定のためにこそ必要になります。
② 副業がアルバイト(給与)なら、経費は引けない
副業がアルバイトやパートで、給与として受け取っている場合は判定の仕方が変わります。 国税庁 No.1900 は、給与を2か所以上から受けている人について 「年末調整されなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)との 合計額が20万円を超える人」と書いています。ここで比べているのは 所得ではなく「収入金額」です。
給与には必要経費という考え方がなく(代わりに給与所得控除があります)、 副業のアルバイト代から交通費や道具代を差し引いて20万円と比べることはできません。 アルバイトで年25万円もらったなら、それだけで20万円を超えています。
なお No.1900 には注書きがあり、「給与の収入金額の合計額から、所得控除の合計額 (雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除を除く。)を差し引いた金額が150万円以下で、 さらに各種の所得金額の合計額が20万円以下の人は、申告は不要です」とされています。 当てはまるかどうかの判断は難しいので、所轄の税務署にご確認ください。
③ 20万円以下でも、住民税の申告は別途必要
ここが一番の落とし穴です。20万円ルールは所得税の規定であって、 住民税にはこの特例がありません。 所得税の確定申告が不要でも、副業の所得は原則としてお住まいの市区町村へ 住民税の申告をする必要があります。
逆に、所得税の確定申告をした場合は、その内容が税務署から市区町村へ送られるため、 住民税の申告を別途行う必要は原則としてありません。 「確定申告をしないほうが手続きが少ない」とは限らない、ということです。
申告先・期限・必要書類は自治体によって異なります。 「(お住まいの市区町村名) 住民税 申告」で検索して、公式の案内を確認してください。
④ 確定申告をするなら、20万円以下でも副業分を含める
20万円ルールは「確定申告をしなくてよい場合」を定めたものです。 そのため、医療費控除やふるさと納税(ワンストップ特例を使わない場合)、 住宅ローン控除の1年目などで確定申告をするなら、副業の所得が20万円以下でも 申告書に含めることになります。「20万円以下だから書かなくていい」ではありません。
ふるさと納税でワンストップ特例を申請していても、その後に確定申告をすると ワンストップ特例の申請は無効になります。 確定申告書に寄附金控除として書き直す必要があるので、忘れないでください。
20万円ラインの判定に必要なのは、1年分の集計です
20万円を超えそうなら、1年分の売上と経費をこのシートにまとめると 確定申告の数字まで自動で出ます(¥1,000・買い切り)。 Excel / Googleスプレッドシートで開ける買い切りのシートです。
1年分の収支を集計するシートを見る(BOOTH)件数が多い方・請求書も発行したい方は、会計ソフトのほうが向いています → freee / マネーフォワード クラウド
よくある質問
副業の20万円は「手取り」のことですか?
手取りではありません。業務委託やフリマなどの雑所得・事業所得の場合は 「収入 − 必要経費 = 所得」で計算した金額を20万円と比べます。 副業がアルバイトなどの給与の場合は、経費を引かない「収入金額」で判定します。 源泉徴収された税額を引く前の金額で考えてください。
メルカリの売上は確定申告が必要ですか?
着なくなった服や家具など、生活に通常必要な動産を売った所得は原則として非課税です。 国税庁 No.3105 は非課税となるものとして「家具、じゅう器、通勤用の自動車、衣服などの 生活に通常必要な動産の譲渡による所得です」と挙げています。 ただし「貴金属や宝石、書画、骨とうなどで、1個または1組の価額が30万円を超えるもの」は除かれます。 また、転売のために仕入れて売っている場合は雑所得または事業所得になり、 20万円の判定の対象になります。判断に迷う場合は税務署にご確認ください。
住民税だけの申告はどこですればいいですか?
お住まいの市区町村(市役所・区役所・町村役場)の税務担当窓口です。 税務署ではありません。申告書の様式・受付期間・郵送やオンラインでの受付可否は 自治体ごとに異なるため、市区町村の公式サイトで確認してください。
20万円以下でも確定申告をしていいですか?
できます。原稿料や講演料のように源泉徴収されている副業では、 確定申告をすると納めすぎた税金が戻ってくる場合があります。 ただし確定申告をする場合は、副業の所得も申告書に含める必要があります。 有利かどうかはケースによるので、税務署の相談窓口や税理士にご確認ください。
副業の経費には何が入りますか?
その収入を得るために直接必要だった費用です。材料費・仕入れ・販売手数料・送料のほか、 仕事に使った通信費や家賃を業務で使った割合で按分したものなどが考えられます。 プライベートと共用しているものの按分の考え方は判断が分かれやすいので、 税務署または税理士にご確認ください。
副業が20万円を超えたら、会社に知られますか?
住民税の通知を通じて勤務先が把握する場合があります。 住民税を自分で納付する方法(普通徴収)を選べるかどうかは、 所得の種類や自治体の取り扱いによって異なり、副業が給与の場合は選べないことが多いとされています。 確実なことはお住まいの市区町村にご確認ください。 なお、勤務先の就業規則で副業が制限されている場合は、税金とは別の問題になります。
出典(すべて一次情報)
- 国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(令和7年4月1日現在法令等)
- 国税庁 No.1500 雑所得(令和7年4月1日現在法令等)
- 国税庁 No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得)(令和7年4月1日現在法令等)
- 国税庁 No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法(令和7年4月1日現在法令等)
- 国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)(令和7年4月1日現在法令等)
- 国税庁 No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)(令和7年4月1日現在法令等)
- 総務省 個人住民税について
- 国税庁 確定申告特集